8月27日(木) 「久保田麻琴プロデュース」

久保田さん 


どういうわけか、久保田摩琴さんプロデュースで越路姉妹のレコーディング。
白黒ハッキリしている久保田さんがプロデュースに名乗り出てくれるとは、、、実に光栄な事である。


現在、基本の母体録音は、ほぼ終了したところで、その流れは、、、
とにかく衝撃。。。

何が衝撃か?という事を説明するには、
何が普通か?という話になってしまうんですが、
一言で言ってしまえば、

”とにかく早い”



打ち合わせ

時は遡って久保田さんとの顔合わせ、打ち合わせにて、

「1曲にかかる時間など考えずに気持ちを解放して、とことんやろう」

みたいな話をされた。

「”黒猫白猫”という映画を見ておいて」とも言われた。

参考資料が音楽ではなく、映画とは、、、粋だぁ!

そして、その時は、、、こりゃ何度も色々試す、体力勝負のレコーディングになるなぁーと思った。



レコーディング1曲目

実際、久保田さんの機材や環境へのこだわりは半端なく、
納得の行く環境になるまでに4時間位かかり、

メンバーはひたすら待った。

かなりマニアックな機材らしい。



4時間後、さていよいよレコーディングスタート!!

メンバーは久保田さんに呼ばれ、
「いい演奏しましょう!」と円陣を組んで、皆で手を合わせる。

ナルホド!!よくライブ前に行う、
「がんばるぞぉ!」みたあいな合図で「お〜」みたいに手を下げるんだなぁ、と想像。

ところが、いきなり、
久保田さんは何の合図も無しに
「ハイ〜」と手を下げるのではなく、上げた。。。

新しい。。。



さてスタジオに入る。

大抵、特に最初の1曲目は
ヘッドホン内の音のバランスを見たり、環境に慣れるために数回演奏、
その後、実際録音してみて、
どんな音で録音されてるかを聞いてみて、
あーだこーだ話合い、
じゃあ本番行ってみようー!
みたいな

ここまでは普通、
そしてそこから久保田さん意見がどんどん入って来て
色んな事を試すのかなぁ〜と想像。


ヘッドホンをつける。

普通はここで
「準備はどうですか?」などの会話がなされる。

ところが、いきなり、


「ハイどうぞぉ!!」


おっ、お〜早ぇ〜
心の準備どころか、スティックすら持ってない、
皆慌てて楽器を持ち、演奏スタート!!

ヘッドホンの中のバランスはまだ取れてない、
大き過ぎる音や小さ過ぎる音や、
まぁいいか、とりあえず一回演奏した後バランス取ろう、

演奏終了。

普通はここで
「音のバランスどうですか?」
などの会話があり、調整した後に音色確認の試し録音に入る、

ところが、いきなり


「ハイOK!じゃあ次どうする?聴いてみる?」


えっ!もう録音してたんだぁ、、、
というか、、、次って???

まぁいいか、
とりあえず久保田さんのいるPAルームに行き、聴いてみよう。

普通はここで、久保田さんより、
「どんな感じ?とりあえず聴いてみようか?」
などの会話があり、聴き始める。

ところが、、、、
PAルームに入ると、、、
久保田さんはすでに聴き始めていた。。。


仮に、奇跡的に、この時点で演奏も音色もOKだったとする、
そんな時は普通

プロデューサー 「おっ!これいいんじゃない!?どう?」
演奏者 「えっ!ひょっとして一発OK?どうする?どうする?」

などと多少の笑みがこぼれながらも、
終電間際に、出会って間もない、まんざらでもない男達から 「朝まで飲もうよ」 と誘われたOL達位に悩む。

帰る者もいれば、残る者もいるように、
「もう1回やらない?」「俺はもう大丈夫!」なんて意見が異なったりする。


ところが、そんな会話はすっ飛ばされ、
なかば拉致軟禁されたOLのごとく


「ハイ!次何する?」


1曲目、イントロ聴けないままに終了。。。


なるほど、1曲目は相当良かったんだなぁ。。。
まぁ奇跡の1回。。。
次は???



レコーディング2曲目

次の曲を録音するためにスタジオに入る。


「ハイ行きます!!ワンツー」


慌ててスティックを持ち演奏スタート!

演奏を途中で止められる・・・

あらかじめメンバーで決めたテンポがあったんだけれども、
久保田さんより提案、


「もう少しテンポ落として○○な雰囲気に変えてやってみましょう」


と言い終えたか終えないか位のタイミングで
”もう少し”って、どれ位か知らされないまま、、ヘッドホンにクリックが流れだし、
テンポに慣れる間もなければ、、○○な雰囲気を考える時間も与えられないまま、、、


「ハイどうぞぉ!!」


演奏終了。


「ハイ聴いてみましょう」


PAルームに急ぐ
やはり、もうイントロが始まっていた。


「いいね!次は?」


それなりに経験を積んできた越路姉妹のメンバーは悟った。


”久保田さんを前にしてチャンスは2度ない”


次曲より、メンバーそれぞれ”まずは試す”という気持ちを捨て、初球入魂。

次曲初球入魂の演奏終了。


「ゴメ〜ン、ギター撮り忘れた!!」


アグレッシヴだぁ!!!



ジャマイカ

久保田さんは世界中を旅し、世界中でレコーディングしている。
そんな中、ジャマイカの話は興味深かった。

ジャマイカと言えば、ボブマリー、レゲエ、
テンポはゆったりしている。

当然、人もゆったりしていると思っていた。

ところが、ジャマイカでは、
車は、そこが砂利道だろうが、山道だろうが、夜だろが、
常に100km以上でブッ飛ばしているらしい。

レコーディングもワンテイクしかやらない、
スタジオに入ったら即演奏、終わったら即聴く、余韻なし、
それはスタジオ代削減もあるが、基本的にせっかちなんだそうだぁ、

久保田さんは、そんなジャマイカレコーディングを経験している。


余談になるが、その時久保田さんは
録音データーを持ってジャマイカ発の飛行機に載ったら、
あのバミューダ海峡上空で、、、
飛行機は落下し出し、酸素マスクを出てきて、
「海上に不時着します」とアナウンスが流れたそうだ、、、

飛行機内な意外にもパニックにならず、皆静かに遺書を書いていたらしい。

その後飛行機は持ち直し、付近の空港に行ったんだけど、
荷物は全て海に捨てたのか?紛失してたんだとか、

凄まじい経験。



狙い

久保田さんは以前、こんな事を言っていたらしい、
「越路は演奏がちゃんとし過ぎている」

久保田さん流レコーディングのテンポが、普段からジャマイカ流なのか?

時間を与えるとマジメに演奏を構築してしまいがちな越路の違う一面を引き出すために、
プロデューサーとして、あえてジャマイカ流を選んだのかは定かではないが、

結果がいい方に向いている事だけは確かである。



演奏風景

みんなで一つのスタジオに入ってリハーサルみたいに録音してみようか?

などのアイデアがあったり、

「こんなギターの感じでどう? ハイ!録ってみよう!」
と、、、録音スタート!!

えっ!?イントロの長さは?
曲はカウントから?ギターから?誰から始まるんだろう?
なんて思ってたら久保田さんがギターを弾き始めたので、途中からドラムを叩きだす、

「いいね〜」

終了!!なんて事があったり、


「他にどんな曲があるの、ちょっとやってみて」と言われ
10秒位演奏したところで、サビに行く前に、NHKのど自慢のカ〜ンのごとく、
「ハイ、いいやぁ、他は?」と言われたり、


コーラスやら手拍子やら


大量の差し入れがあったり、



2日連続レコーディングの時に、泊まった方が楽なのでは?
とスタジオ近辺に泊まったら、予想通り飲み過ぎてしまい、かえって疲れてしまったりとか、

翌朝、二日酔い気味でスタジオに行き
「あれ?久保田さんまだ?」
スタジオの店員さん「今、海行ってるそうです」
なんて事があったり、

なんだかんだで楽しいレコーディング中なのでした!!


それにしても、、、音がいい。。。


出来上がりが楽しみだぁ!!




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