先週の「霊感」のコラムのように、霊感など全く無いのにも関わらず、まるであるかのような作り話を書くのも、最近好きになってきたが、そんな事よりも僕は酒が好きだ。

とは言っても酒そのものが好きと言うよりは、酒を飲みに行く事が好きだ。

夜友達と会えば必ずと言っていいほど「とりあえずどこ行く」と飲む所を探す。

1週間のうち平均4日は飲みに行っている。

友達とラーメンを食べれば、これまた必ずと言ってもいいほどビールを頼む。

こだわりのラーメンが650円に対して500円のビールはどう考えても高いと思うのだが。

朝まで飲む事もしょっちゅうある。

思えばいつからこんなに酒を飲みに行くのが好きになったんだろう。

高校生の頃、遊ぶ友達といえば、クラスの奴というよりは、学年や学校を越えてバンド仲間と遊ぶことが多かった。

そんな遊び仲間の1人で今でも連絡を取り合う奴に奥原(仮名)と言う1つ下の歌を歌っている男がいる。

思えば彼との出会いが酒との出会いでもある。

当時はさほど感じなかったが、今思えば彼の家庭はかなりファンキーであった。あまりにファンキーすぎるのでここでは奥原と言う仮名を使わさせてもらう。

奥原のお母さんは自分の妹と共にスナックを経営していた。

そして僕らがバンド活動をしている事をとても気にいっており、よく地元でやっていたコンサートを見に来てくれた。

そして僕らを自分のスナックによく誘った。

この時点ですでにファンキーである。

高校生の僕らを、しかも自分の息子を、あろうことか、スナックに誘っているのだ。

そして僕らは高校生にも関わらずいつしか土曜の夜にスナックで飲む事が当たり前となった。

土曜の夜にゆっくり家でテレビでも見ていようものなら、友達からではなく、奥原親姉妹から「何やっとるの!はやくこんかい!」と電話が入った。

もちろんお金など1度も払ったことなどない。

「お金はいらないの?」と聞いた事がある。

すると姉妹はおもいっきり「金のありそうな客から取るからいいんだよ!」と言っていた。

軽〜いボッタクリスナック!

そんなお母さんはタバコを吸わなかったのだが、息子に教わり吸うようになった。

僕らが飲む酒は決まってコークハイだった。

コーラのウイスキー割だ、これが達の悪い酒で、ものすごく酔っ払う、その名のとうりハイになる。

余談だが、よく麻薬をやって捕まる人がいるが、僕から言わせれば酒というこんなにすごいドラックが合法なのに、なんでわざわざ捕まるかもしれない麻薬やるのかが気がしれない。

ドラック辞典によれば数あるドラックの中でもアルコールは最も強いドラッグであり、マリファナは最も軽いドラックなのだ。

中毒性や暴力性、はたまた急逝中毒で死んでしまうかもしれないアルコールが合法なのが不思議なくらいだ。

話はそれたが、僕らは本当によくコークハイで酔いまくった。

そして散々吐きまくった。

初めて吐いた時は、もう二度と酒なんて飲むものかと思ったものだ。

気が付けば道路で寝ていた事もしょっちゅうあった。

今思えばスナックに来ていたおじさん達の眼に僕らはどう映っていたのだろうか。

そのスナックにはおじさん達にとってのアイドル的な若い女の子が一人だけいた。

彼女はいつも僕ら同様酔いまくってはいたものの、おじさん達の扱いには慣れていた。

そんな彼女、若いとは言ってもスナックだし二十歳は過ぎているだろうと思っていたら、なんと同じ歳だった。

しかも奥原家のいとこだった。

家族ぐるみスナック!

夜も更けると僕らは大抵奥原の母の妹の運転する車でラーメンを食べに行った。

深夜になると母である姉の方は先に家に帰っている事が多かった。

路上駐車していた車に酔っ払いのおばさんと高校生が何人も乗ってラーメン屋に直行。

奥原の母の妹にとっては法律なんて全く関係なかった。

しかし違法とは言えども、路駐や飲酒運転、未成年の飲酒なんてよくあるよ、なんて思っている方も多いだろう。

後に知った事だが、奥原妹の破天荒ぶりはそんなもんじゃない。

彼女は不思議なことに、毎日十年以上も飲酒運転しているにも関わらず免許の点数が減った事が無い。

何故でしょう?何故ならば、彼女はなんと・・・

免許なんて最初から持ってな〜いのだ。

免取りとかじゃなく、一度も免許を取った事がないのだ。

十年以上も飲酒運転していれば、そりゃたまには検問で飲酒で捕まる事もある。

しかし彼女の無免許はバレない。

なぜなら、「免許証忘れた」って言えばいいからだ。

当然警察は「だったら本名と住所、本籍・・・を言って下さい」といろいろ聞いてくる。

そこで彼女は一緒に住んでいる姉になりすます。

なんと言っても姉妹、姉の事なら大抵解る。

そして免許不携帯という事になる。

こうして彼女は十年以上、いや二十年以上、無免許飲酒運転を続けている。

ファンキースナック!

これが僕の酒との出会いである。

一見無茶苦茶な家族に見える。

しかしながら冷め切った家族が多い中、なんと平和な仲の良い家族なんだろう。

いやもちろん飲酒運転を絶対に良くないことなのだが。

そんな奥原家は、あれから十六年たった昨年も親子で僕のライブを見に来てくれた。

僕もいずれは人の親となるのだろうが、奥原家のような親子関係を築きたいものだ。

 

 

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