SHORT ESSAY
   


 

 気 に な る ん で す

 「気になるんです」

 気になり出したら、気になって仕方がないこと、ありませんか。 

 どうでもいいことなのに、一度気になり出したら、どうしても目についてしまうこと。

 私は最近、「トイレットペーパーの三角折り目」が気になっています。

 さんざん色々な雑誌などで「あれは清掃業者が清掃済みの目印としているもので、一般の人たちによる三角折りは紛らわしいものなのだ」という批判も、私達の耳に入ってきている昨今だというのに・・・。

 場所は問わず、居酒屋風の飲み屋であろうと、洒落たワインバーであろうと女性が出入りする店のトイレであれば、未だにかなり高い確率でお目にかかれる三角な折り目。

 実は私もたった一度だけ、折ってしまった苦い過去があるのです。だから余計に気になるのでしょう。

 それは、今からもう何年も前の事ですが、私が初めて「三角折り目」の不思議に気がついた時のことでした。

 なんだか妙だな・・・と感じたのです。これがたまたま、清掃直後の一番乗りでトイレに入ったのであれば、なんだかラッキーだったわ、ですむ問題も明らかにそういう事ではないらしいのです。 「誰かが折っている」そうなんです。誰かが折らなければ、使用後の切れ端が勝手に三角になんてならないのですから。

 「いったい誰が・・・」

 どうやら、お客として来ている自分と同じ立場の女性が、その女であるが為のたしなみとして、次の人が使い易い様にという心配りなのです。

 「清掃済み三角」ではなく「心配り三角」だったのだと理解した私は、同じ女としてやはりここは私も三角に折っておくべきなのかしら、と不覚にも折ってしまったのです。

 三角の切れ端が有り難かったからではなく、女らしい行為を意識させられたような、複雑な気持ちでした。そして折った後にとても嫌な気分になってしまったのです。

 今考えると、連鎖的に安易な反応をした自分が情けなかったのでしょう。

 決して日頃から心配りが行き届いているタイプの女性ではない私が、たまたま三角の折り目に出会ってしまったために連鎖反応を起こしてしまい、「私も心配りしなくちゃ」の繰り返しでそのトイレだけは永遠清掃済みのまま閉店となる可能性もあるのです。

 この威圧感のある「心配り三角」について、様々な女友人達に敢えて質問してみたところ、「気持ち悪い」と答える人が圧倒的に多く「あら、私はいつも折っているわよ」という友人は幸いにも一人もいませんでした。

 次に入る誰か分からない相手の為に、切れ端を御丁寧に折る行為は、同性の女性からすると、愛情の押し売り的で、「私はよく気がつく女なのよ」というアピールに感じられ、どうやら不評であることが多い様です。

 そういったアピールはせいぜい、思いを寄せる男性に向けて頂ければ結構。女子トイレに余計な心配りは無用。自分の事は自分でします、という結論に達し私のもやもやも、すっきりしました。

 そんな辛口な女同士の会話の中で「僕は素晴らしい優しさだと思うけどな」と遠慮がちに頑張っていた男性がいた事も付け加えてはおきますが、しかしこれはあくまでも女子トイレでの問題。男性よりも女性の意見が大事なのです。

 使用中の音を消す為に、音を流してくれる「音姫くん」という愉快な機械も日本にはあります。充分過ぎる程、心配りの行き届いているのが日本の女子トイレです。

 その上での「心配り三角」皆さんはどう思いますか。

 


 

 

 

 

 

 

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