SHORT ESSAY
   




こちらのエッセイは

2007年3月東京新聞に連載されていました。

 
錦  糸  町

  十年暮らした芝浦の変化の行方次第では、そろそろ次の土地を探して、引っ越しの可能性も出てきました。

さて次はどんな場所が良いだろうかと考えながら街を歩くのも、楽しみの一つになっています。

最近、私が憧れているのは、下町の風情漂う場所です。

昨年は、初めて『明治座』での公演もあり、その際に共演していた石倉三郎さんに案内して頂いた門前仲町もとても印象的でした。

ここにきて下町に憧れるのは、まず第一に人との触れ合いのなかで生活をしたいなと思う所にあります。

大型スーパー店の便利さよりも、毎週トラックで訪れてくれる八百屋さんとの、旬の素材を話しながらの買い物の方が数倍、料理も楽しく感じます。1日自炊しただけで、袋一杯になってしまい兼ねないゴミの量も大幅に減らす事が出来るはずです。

またその土地に伝わる祭り事に参加するのも、楽しそうです。

墨田区にある『錦糸町』には、我が家の猫が本当にお世話になった動物病院があります。

数年前、飼っていた7歳になる雌のヒマラヤン『ローサ』が癌になり、藁をもすがる気持ちで友人に紹介してもらったその病院は、さながら動物の野戦病院のような慌ただしい光景で、そこが飼い主にとって駆け込み寺のような場所であることを実感しました。

名物先生の怒鳴り声が響き渡る病院内で、最初私も与えている餌の無責任さによって猫が癌になったのだと容赦なく叱られ、待ち合い室で涙を抑えきれずに泣いている時、その場にいた沢山の人達に慰めてもらったという経験があります。

歯に衣を着せぬ先生の怒鳴り声は、動物への愛情に溢れていて、その声を待合室で聞いている動物病院の常連さん達は、そんな先生への信頼と愛情に溢れているような、そんな不思議な場所です。

考えてみれば、上野育ちの父と博多出身の母の間に生まれた私には人情は付き物かもしれません。

いったいどんな土地に落ち着くのやら。。。

 


 

 

 

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