SHORT ESSAY
   


 

 古 い 映 画 の 魅 力

 前回お伝えした4096分の1の確率。ボウリング、パーフェクトゲームへの挑戦は結果的には4096の何倍もの倍率に膨らむ難しい状況の中、無念の結末を迎えてしまいました。勿論、そう易々と達成出来るものとは考えていませんでしたが、数多くの声援を頂き約5時間、150投を投げた私としては、残念では済まない悔しさが残りました。

 それでもさすがに、タイムリミットとなった瞬間は、疲労感と解放感に包まれて、応援し続けてくれたスポーツインストラクターのマッサージを受けながら、終わったという喜びに浸ったものですが、その傍らでは試合了後だと言うにも関わらず、まだ投げようとしている俳優の村田雄浩さんの姿がありました。ボウリングに対する彼の向上心に、あっぱれ。感心というよりも、思わず笑ってしまいましたが、何ごとも上手くなる為には、練習しかない事を教えられた一幕でした。

 どうやら秋には、再挑戦が予定されている様なので、その時には、どうぞ期待をかけて応援して下さいね。

 さて、私はこの夏「天国から来たチャンピオン」という芝居を掲げて東京を始めとし、全国を回りました。

 この作品は1978年にウォーレンビューティによって映画化され、有名になった芝居です。

 私も以前、相当前の事となりますが観ていて、大変面白かったという印象を強く持っていました。

 ジャンルで分けるならば、ハートフルコメディーということになるのでしょうか。

 天国へ間違って呼ばれてしまったスポーツ選手が、違う人間(死亡予定者)の体に入って人間界でのやり残した事をやり遂げようとするSF的な内容なのですが、私はその中に出てくる悪い妻の役を演じました。

 その役づくりの一つとして、久々にこの映画を観なおした際に、記憶が織り成す不思議な錯覚に気付きました。

 昔読んだ小説を、大人になって読み返したところ、その内容の受け取り方が以前とは全く違っていた事に驚いた、という話はよく耳にします。

 確かにそれを映画に置き換えて、同じ事が言える場合もありますが、今回私が感じた錯覚はそれとは少し違います。

 映画が作られる背景には、その時代の空気が大きく影響しますが、それは古い映画であってもいつまでも、新鮮で洗練された美しさが保たれているように、良い作品には時代を超えた輝きがあるように思います。

 何度観ても、同じ場面で泣いてしまう映画などは、永久保存版として、このDVDの時代には、家庭に置いておきたいものだとも思います。

 そのような何度も繰り返し観ている作品には、間違った記憶を持つ事はないのですが、それ程まででは無くただ単に、面白かったと感じた作品には、実際の映像とは大きく食い違っている事があるようなのです。

 小説と違い、映画の場合は想像だけではなく、実際に映像として観られる物語りです。

 それなのに、面白かった映画は記憶の中でどんどん膨らみ、現実には無かった場面までつくり出してしまう力があったのです。

 例えば、実際には主人公が映画の中で幼い頃の思い出を語っただけなのに、それがしっかりシーンとして刻まれ、「あの子役は、主人公によく似ていたなぁ。」などと記憶していて、同じ映画を観た友人と話が食い違い、お互い譲らない場合があります。

 「天国から来たチャンピオン」に限って言えば話がSFなだけに私の記憶の中では、CGとまでは行かないまでも、その時代の最先端の映像トリックを駆使した作品だったと思い込んでいたのです。ところが、改めて観た映像は至って、シンプルでありトリックと見えたのは全て役者の演技力だった事がわかりました。

 そこで考えてみると今の時代、惜し気も無く映画にはCGが使われる様になり、SF=CGとむすぴついてしまった事が、残念な事に思えてきました。それともう一つ。

 ストーリーに引き付けさせる為に息もつかせぬアップテンポの作品が主流になってきただけに、ちょっとでも間延びすると途端に疲れてしまう傾向があって、テンポは作品の出来を左右する重要な要素となってきました。

 それはそれで充分有り難いのですが、逆にスローテンポな物に我慢できなくなる事を不幸に感じます。現代人はせっかち、と言う事になるのかもしれませんが、私はのんびり生きたい。そんなふうに、ちょっと古い映画を観ながら、自分に確認したくなりました。

 


 

 

 

 

 

 

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