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豊かな心と活力ある社会を築き
子供たちに誇れる日本を創ろう

二十一世紀に入り、早いもので二年が過ぎました。二○○二年を振り返りますと、特に外交の面で大変大きな動きがありました。
九月には、長い間中断していた日本と北朝鮮の国交正常化交渉のテーブルにつくため、両国の首脳による会談が平壌で行われました。
その会談の席で北朝鮮の首脳は日本で起こっていた行方不明事件が北朝鮮の工作員による拉致であったことを公に認め、謝罪しました。
そして拉致されていた日本人五人が帰国を果たしました。
これは喜ばしいことでありますが、その他の拉致日本人の安否、消息についてはとても承服できるような回答でなく、再交渉のテーブルにつくには至っておりません。
未だに誠意ある回答が得られていないことは大変残念に思います。
この問題に対して我が国は毅然とした態度で臨み、粘り強く交渉を重ねなければなりません。
またテロの恐怖も依然続いています。バリ島での爆破事件を始め、ロシア、イスラエルなど世界の各地で悲惨な事件が頻発しているのはご承知のことと思います。
イラクの核開発疑惑が再浮上し、国連決議によりIAEAの査察が行なわれることになりました。これに関しては今のところイラク側も応じる姿勢を見せ、資料を提出するなどして一触即発の状態は回避したように見えますがこれも注意深く見守っていく必要があると思います。
この問題に関連して自衛隊のインド洋派遣が行なわれいるのですが、先日私は同志議員と共に横須賀基地に停泊している海上自衛隊のイージス艦「きりしま」を視察し艦内の説明を受けてきました。
そしてこの船がなぜ必要とされているかをこの目で確認してまいりました。
そしてイージス艦がインド洋で充分な成果をあげられると確信いたしました。
それはマスコミで強調されているレーダー能力等はもちろんですが、長期間、インド洋で任務を果たす為の居住性や設備に格段の配慮がなされているという点です。このことは実際に見てみなければわからなかったことでした。
このような見近な現実を踏まえて、危機管理や国の安全保障問題を国会の場で真剣に議論し、国民生活の安全を守るための有事法制などを早急にしかも着実に整備していく必要があります。
国内の問題に目を向けますと、相変らずデフレ状態が続き、景気の先行指標といわれる株価の長期低迷、完全失業率は五.五%を越える状態になっています。
今はとにかく緊急事態です。一刻も早く経済を立て直し、景気を回復させなければなりません。このことが政治の最優先課題であると思います。
具体的には、金融機関による貸ししぶり、貸しはがしといわれる行為による中小企業の倒産を防ぐための施策、千四百兆円を越えるといわれる個人の金融資産を市場に流通させる為の施策、税制の見直し、雇用対策等、国民が安心して暮らせる社会の実現です。
一案には私の持論、一日も早く妥当な金利のつく正常な世の中の制度に戻すことです。
昨年、南アフリカで開かれた環境サミット「ヨハネスブルグサミット」に日本代表団の団長として参加してまいりました。
ジャパン・デーでの基調報告では、日本が高度経済成長期に直面した公害問題をいかに克服してきたか、これからの環境政策を中心に日本としての取り組みを発表してまいりました。
二○○五年には愛知県で環境問題をテーマにした万国博覧会「愛・地球博」が開催される事も参加国代表にピーアールしました。私は超党派の国家議員で構成される万博推進議員連盟の会長として、いままでの体験を生かしてこの万博を成功させるため、神田知事、豊田万博協会会長を始めとする地元の各界のみなさんと共に頑張ってまいります。
おかげさまで家族共々新年を元気で迎えることが出来ました。

本年も皆様にとって希望ある年になりますよう、ご健勝をお祈りいたします。

元内閣総理大臣

(平成15年1月号国政報告より)