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平成20年2月10日毎日新聞

質問タイム
最近の首相はなぜ早く辞めてしまうの?

茨城県T・N君(中1)

国民の支持得られずに

「歌手1年、総理2年の使い捨て」
と言ったのは誰だか知っていますか?
時代が「昭和」から「平成」に替わった時に首相だった竹下登さんです。

首相が使い捨てライターのように扱われるのは、
国民にとって不幸なことですね。
竹下さんは冗談めかして、そうした政治の状況を嘆いたのです。

今年は平成20年です。
この20年間に首相になった人は、竹下さんからいまの福田康夫さんまで13人に上ります。
単純平均すると、1人の首相の在任期間はたった1年半という計算になります。
13人の中には、1人で5年5ヶ月も務めた小泉純一郎さんがいます。
小泉さんを除けば、平均在任期間はもっと短くなります。

首相は国会議員の中から選ばれますが、在任の決まりはありません。
では、選挙で勝った小泉さんがなぜ辞めたかという疑問がわくでしょう。
それは、自民党総裁としての任期が終わったからなのです。
首相としての任期ではなく、党の決まりに従ったわけです。

それにしても、最近の首相はよくコロコロ代わりますね。
この20年間で、2年以上持ちこたえた首相は海部俊樹さん、
橋本龍太郎さん、小泉さんの3人しかいません。
なぜでしょうか?

いろいろな理由が考えられます。
自民党だけが強かった「一党支配」の時代が15年前に終わったことも理由の一つでしょう。
自民党の中で、実力者を中心にした「派閥」という議員集団の力の衰え、
将来の首相候補を育てる働きが弱くなったことも関係しているかもしれません。

それより何より、首相にふさわしいかどうかが「国民の支持」の度合いによって測られる傾向が、
最近は特に強くなっていることが大きいのです。
いまの時代は、自分の考えをわかりやすく説明する能力とともに、
国民の気持ちを敏感にくみ取るセンスを併せ持った首相でないと長続きしないのです。

文:森嶋幹夫